文京区・豊島区を中心に「マインドフルネス」を広めるべく活動中!Mindful Ways Japanの、堀井一弘さんと笹倉未帆さんに話を伺いました。心身の疲れが取れない、もしくはマインドフルネスに興味があるという方は必見です。
目次
Mindful Ways Japan インタビュー
堀井一弘(Horii, Kazuhiro)
日本マインドフルネス精神療法協会認定 マインドフルネス瞑想療法士、産業カウンセラー
北海道大学大学院文学研究科修士課程 修了(哲学)。その後、ドイツ・フライブルク大学哲学部博士課程に在籍し研鑽を深める。帰国後、忙しい会社員生活を送る中で心身の不調を感じたことがきっかけでセルフケアの手法を探しはじめ、禅や西田幾多郎の哲学をベースにしたマインドフルネスSIMT(自己洞察瞑想療法)に出会う。
笹倉未帆(Sasakura, Miho)
日本マインドフルネス精神療法協会認定 マインドフルネス瞑想療法士
オーストラリアの4年制カレッジ(Nature Care College)で自然療法とカウンセリングを学んだ後、日本にて心理カウンセリングを学ぶ。代替医療への関心を通して色々な瞑想法を経験し、最終的にSIMTに出会ってそのプログラムの効果を実感。堀井とともにMindful Ways Japanを立ち上げ、今に至る。
マインドフルネスとは?
最初に教えてください。マインドフルネスとは何でしょうか?
堀井:「今ここに意識を向け、評価・判断にとらわれず、物事をありのまま受け入れる」という心の使い方、エクササイズのことです。仏教の修行法を起源とし、1970年代には心理療法でも活用されるようになりました。ストレス低減に有効であることが分かり、最近は、医療分野だけでなく、ビジネス、教育、司法などの領域でも注目されています。
人間は、落ち込むとき、過去の良くない出来事を思い返して自分や他人を責めることがあります。まだ起こっていないことについて、必要以上に不安を持ってしまうこともあります。しかし、良くない出来事を思い返すこともまだ起こっていないことを不安に思うことも、思考の中で起こっていることにすぎません。よく観察すれば、今この瞬間、現実には何も起こっていません。マインドフルネストレーニングで思考と現実を区別できれば、ストレスも軽減していくはずです。
ビジネス領域では、Search Inside Yourself(SIY)というグーグルの社員研修用プログラムがマインドフルネスを活用していることで有名です。社内での評判があまりにも高かったため、社外向けにも提供するようになって広まったようです。
どのような効果があるのでしょうか?
堀井:ストレスの軽減、反すうの減少、ワーキングメモリの機能向上、集中力の向上、感情的反応の減少、認知の柔軟性の向上、対人関係の満足度向上に効果があると言われています。痛みの緩和、うつ病の改善・再発予防などにも実績があります。
マインドフルネスを始めたきっかけ
なぜ、マインドフルネスを始めたのでしょうか?
堀井:始めたのは2016年でした。そのころ、仕事の疲れが取れず、頭もよく働かない状態が続いていました。脳に何かあるのかなと心配になり検査を受けましたが、異常はなし。睡眠を多めに取ったり家でリラックスできる環境を作ったり色々と試みましたが、改善には至りませんでした。そんなとき、たまたま立ち寄った書店で見かけたのが、デイヴィッド・ゲレスの『マインドフル・ワーク』という本です。
この本はアメリカのビジネスシーンにおけるマインドフルネスを紹介したものですが、なんとなく気になって購入しました。本の最後にマインドフルネスのトレーニング法が載っていて、試したところ少し楽になった気がして、本格的に始めてみました。2~3ヶ月くらい経った頃、頭がクリアになってスッキリする感じが時々得られるようになってきたと思います。
その後、日本でSIMT(Self Insight Meditation Therapy:自己洞察瞑想療法)というマインドフルネス心理療法を独自に開発した大田健次郎先生のことを知り、「マインドフルネス瞑想療法士」の養成講座を毎年開催していることを知りました。
私も10ヶ月間の講座を受け、修了後、共同代表の笹倉と共に、同じような悩みを抱えている人のために、カフェや公民館で講座を開くようになりました。その活動が Mindful Ways Japan の母体になっています。
笹倉:私は13年ほど前に抑うつ状態になったのがきっかけです。その頃オーストラリアのカレッジで自然療法を学んでいたのですが、環境の変化やその他色々なことが重なって抑うつ状態になりました。そのときに、カレッジの先生やクラスメイトに勧められて瞑想を始めました。
マインドフルネスではなく、瞑想だったのでしょうか?
笹倉:当時のオーストラリアではマインドフルネスという言葉自体を耳にしたことがありませんでしたが、瞑想についてはよく知られていました。いくつかの瞑想を試した結果、一番効果を感じたのがマインドフルネス瞑想にとても近い瞑想法だったのです。
効果が出るまでどれくらい時間がかかりましたか?
堀井:初めてから2~3ヶ月です。マインドフルネスの後で、頭がクリアになる感じがするようになりました。心のモヤモヤや不安が消えるわけではないのですが、自分の思考や感情から距離をとって、それらを冷静に眺めることができるようになってきたと思います。
そんな良い状態が続いていたのですが、ある時、ガクッと調子を崩してしまったことがあります。いくらマインドフルネスをやっても調子が戻らず、頑張れば頑張るほど調子が悪くなっていく。完全に空回りしていました。「マインドフルネスをやれば絶対に良くなる」という考えにとらわれてしまっていたのですね。私たちの心の状態は良い時も悪い時もあって当然なのに、悪い状態を受け入れられず、良くならないのはトレーニングが足りないからだと考え、自分を責めていたのです。でも、本来マインドフルネスとは、良い時も悪い時も等しくありのままに受け入れることができる心の姿勢です。それに気づいたとき、スランプからやっと抜け出せたのです。
笹倉:私は効果を感じるまでもう少し早かったです。瞑想を続けるうちに、ネガティブな思考にとらわれることが少なくなっていきました。何かに頼ることなく、自分で思考や気持ちの切り替えができるのはとても心強いです。
Mindful Ways Japanの設立
どうして、Mindful Ways Japanを設立したのでしょうか?
堀井:マインドフルネスやSIMTと出会ったことは私にとって大きな転機でした。マインドフルネスを通して経験したことを一人でも多くの人に伝え、生きづらさやメンタル不調を抱えている方に届けたいという思いから、先に養成講座を修了していた笹倉とともに Mindful Ways Japan(マインドフル・ウェイズ・ジャパン)を共同設立しました。
Mindful Ways Japanは、どのような活動をされているのでしょうか?
笹倉:今はマインドフルネスを広めることに力を入れています。そのため、ワークショップ形式のセミナーが中心です。2時間ほどかけて、マインドフルネスや瞑想の基本をご説明します。そこから興味をもっていただいた方には、より進んだプログラムや瞑想会を紹介します。また、SIMTによる、うつ病や不安障害の方の支援も行っています。
SIMTは、マインドフルネスとは違うのでしょうか?
堀井:現在知られている大部分のマインドフルネス心理療法はアメリカで開発されたものですが、SIMT(自己洞察瞑想療法)は日本マインドフルネス精神療法協会代表の大田健次郎先生が、自らのうつ病を坐禅で治した経験をもとに日本で開発したものです。うつ病を治すことを明確にうたっている点や、禅仏教や西田幾多郎の哲学をバックボーンにしている点がアメリカのものとは異なりますが、「今ここに意識を向け、評価・判断にとらわれず、物事をありのまま受け入れる」心のあり方を作ろうとしている点はいずれにも共通していると言えます。
2013年には、SIMTのテキスト本となる『うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる「自己洞察瞑想療法」』も発行されました。10か月かけて、生活習慣の改善、呼吸法、自己洞察の課題に取り組み、改善を目指していくといった内容です。課題に取り組んだ結果をワークシートに記入し、一日一日の心の状態を記録していくことを勧めています。もっとも、一人では継続するのはかなり大変だと思いますし、Mindful Ways Japanでは、個人向けに継続できるようなサポートを提供しています。
講座の受講方法
どのような講座がありますか?
笹倉:いろいろありますね。お試しであれば、一回完結のセミナーやワークショップがおすすめです。色々なイベントを定期的に開催しているので、サイトをご覧いただければと思います。
講座は文京区と豊島区で開催していますが、別の場所でも開催を考えています。まだ始めたばかりなので、ご希望をいただければ検討させていただきます。
どのような方が受講されていますか?
堀井:様々なバックグラウンドを持った方が受講されます。お仕事でストレスを抱えている方、ご家族や対人関係で何か悩みを抱えている方など様々です。一人でマインドフルネスを学ぼうとしたけれどもよく分からないので受講しようと思ったという方もいらっしゃいます。年代も、20代から50代の方まで幅広く受講されています。
マインドフルネスは、一度身につければ一生モノのスキルになると思います。不快なことがあっても柔軟に受け入れて、簡単にはブレない心を育てていけるはずです。関心を持たれた方は、ぜひお気軽に講座にご参加いただきたいと思います。
今ここに意識を向ける、ありのままを受け入れる
マインドフルネスとは「今ここに意識を向ける、ありのままを受けいれる」という、心のエクササイズ。考え方は日本の「禅」に近く、アメリカで話題になった後に日本へ逆輸入された技法です。
マインドフルネスに興味を持った方は、下記公式ウェブサイトから問い合わせてみてください。
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